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仮面ライダー鎧武 「善」の敗北

仮面ライダー鎧武 35話「ミッチの箱舟」を見て思った事を少々。


以前も一度記事を書きましたが、鎧武は悪が強く、善は弱いという構造的な問題がありました。
現実でも悪の方が強いし、フィクションでも悪が強大で善が弱い方が
それを覆した時のカタルシスが大きくなるというのは理解できます。

しかし、35話を見て「最終的に善が勝てないまま終わるのではないか」という疑念がいよいよ強くなりました。
というか、今回の話で「善」が一度大きな敗北を喫しており、
この敗北を残りの話で挽回できるのか分からなくなったと考えています。


では、まず仮面ライダー鎧武における「悪」とは何かと考えてみると。
これは特定の邪悪な組織ではなく、人間が持つ利己的な性質を指しています。
極限状況下において多くの人を助ける事より
自分の利益を優先して考える事、及びその行為全般は「悪」になるかと思います。
また、「一部の人間を生き残らせるために多数の人間を見捨てる」
という選民的発想も「悪」と見なしていると言っていいかと思います。
このあたりは主人公の葛葉紘汰視点において繰り返し描かれています。

非常に観念的かつ抽象的で対峙しづらい「悪」ですが、
このような「悪」による犠牲者を出さない事、
「悪」による解決法以外を見つけてヘルヘイムによる人類の危機を乗り切る事が葛葉紘汰の「善」です。
あまりに「悪」が大きすぎるのに対してそれを否定する「善」が空々しいという批判もありますが、
とにかく葛葉紘汰を正義の体現者と考える限り善悪の位置付けはこのようになるかと思います。


これを踏まえて34話、35話の展開を見てみると。
オーバーロードの一人であるレデュエが人類に宣戦布告する。
これを受けて人類はミサイルを沢芽市に打ち込んで残された人ごと殲滅を狙うが、
ロシュオがミサイルをワープさせて北米に被害をもたらす。
さらに、クラックを世界中に発生させて
インベスや植物に侵攻させて世界規模の全面戦争へと突入。
……という流れで大きく物語が動き出しました。

この一連の展開を上述の善悪の考え方と突き合わせてみると「善」が全く機能していない事が分かります。
人類は沢芽市ごとオーバーロードを殲滅しようとしましたが、
このように多くの犠牲を強いるやり方は劇中では「悪」と見なされてきました。(少なくとも紘汰視点では)
これを事前に食い止めるのが紘汰の「善」でしたが、今回は食い止める事はかないませんでした。
また、オーバーロードに対しても可能な限り和平の道を探ろうとしていましたが、
(デェムシュと相容れないと分かって吹っ切れた後はやや立ち位置が分かりにくくなっていますが)
このミサイル攻撃に対する反撃としてミサイルの転送、
ヘルヘイムの侵食を早めての侵攻も止められませんでした。
人類とオーバーロードの悪意がぶつかり合うカタストロフであり、
悪意による犠牲者を出さない事を善としていた紘汰の力が全く及ばなかったという話であり、
これはつまり葛葉紘汰の「善」の敗北と見なしてよいのではないでしょうか。

そして、これだけ善悪の観念的に重大な意味を持つ敗北であるにも関わらず、
34話、35話の2話において、紘汰とミッチの関係性が特に重点的に描写されています。
災厄のスケールが全世界規模にまで広がっているのに
紘汰はまだ身近な人間同士のやり取りから抜け出せていません。
もちろんこれから紘汰の活動範囲が広がって
世界の争いの収束に向かう可能性もなくはないですが……
残り話数と未解決の問題を考えるとそこまで手が回るかは微妙なように思います。


この作品は最後まで見届けはしますが、もはやあまりに「悪」が強く蔓延りすぎて、
ここから「善」が挽回する姿が想像できないのが今の私の正直なところです。

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